お待たせ?したかも知れない、Mem Fox 本人とBEA(Book Expo America)で出会った話の続き。
Mem Foxは、オーストラリアの著名な絵本作家だが、Read Aloudを先生・親に教える教育者でもある。初めての「出会い」は、
『Koala Lou』だった。
『キッズ(だけにじゃもったいない)ブックス』
で紹介したのは2002年のことだった。
その絵本自体に流れる前向きなエネルギー、子どもたちを励ますあたたかさに感心していた。しばらくたった2006年。わたしなりの英語絵本の啓蒙活動「リードアラウド」を試行錯誤しているときに、「再会」したのである。
『Reading Magic: Why Reading Aloud to Our Children Will Change Their Lives Forever』
という、教育者と親向けの本だった。作者名Mem Fox、間違いない、あのFoxだ、と本を手に取り、読み出したら止まらなかった。もちろん購入して熟読した。サイトで彼女の仕事について詳しく知った。
わたしの考えている日本での「リードアラウド」と、彼女のRead Aloudの方法論と心がぴったり一致!とちょっと興奮した。
Read Aloudは、ネイティブがやればうまくいくのかというと、まったく違う。それは、日本人だったら日本語の本の読み聞かせがうまい、というわけじゃないのと同じだ。ヘタとしかいいようがないものや、気味の悪いもの、わざとらしくイヤ味に近いもの、ナルシスト的なもの、子どもを上からの目線で見下した感じのものなどなど、案外難しいのだ。
ところが、MemのRead Aloudは「いい心」なのである。サイトで本物が聞ける。
『Tough Boris』が特に感動的だ。
少ない言葉、子どもたちにはちょっと難しい言葉(big words)なのに、彼女の読みと絵本のイラストだけでだいたい意味をくめる。
女優やアナウンサーにときどきあるような自意識過剰でもなく、教育者然としているというか、子どもを愛している声に聞こえる。
Memの本や声からの印象が正しいかどうか、まずは本人に会わずにはいられなくなった。……そしてついに、BEAで本人と会い、話すことができた(過去のブログ参照)。さらに、つい数日前にも接触があった。BEAでのことで礼状を出したところ、すぐに返事をくれたのだ。その内容に表れた人柄から、わたしのそれまで抱いていた印象がかなり正しかったとわかる。
「MemとEmiという名前、似ていると思わない?」という1行からは、心の若さのようなものを感じもする。そしてもちろん、さすが、すぐに韻を考えるのだなあと感心もした。
さあ、この「MemとEmi」、光栄にも似ていると言っていただけたわたしとの「情熱リードアラウド・コンビ」で何ができるだろう。企画力と実行力が試される……。